平成26年6月22日(日) 晴れ 上ホロカメットク山慰霊山行
朝7時前に十勝岳温泉凌雲閣前に到着するとすでに駐車場は満車状態にあった。長雨のうっとうしさを振り払うように空にはひさびさの青空が広がり絶好の登山日和だ。
昨年11月24日の遭難事故から約7ケ月、亡くなったNさん慰霊のために24名の会員が上ホロ登山に参加した。当日救助のために現地にいた人、事務所に集まって情報収集に当たった人、そしてパーティメンバ、Nさんと何度も山行を共にした人も一度もその機会のなかった人も、「あの日も今日のように穏やかな日だった」と振り返ったJさんのように銘々がその時を思い出していただろう。
最終的に目指す地点は大砲岩、D尾根コースから上ホロを目指した。稜雲閣から安政火口に向かっていくと大砲岩が見えてくる。滑落現場はどこなのかという会話を交わしながら、他の登山者に迷惑をかけないよう気を遣い一列になってD尾根を登っていく。上富良野岳への稜線にでると目の前に大砲岩が見えてきて、滑落地点と思われる箇所を写真におさめる。後ろを振り返ると富良野岳の美しい姿があった。
上富良野岳、上ホロを越えて避難小屋まで降りるとカラフルな服装の多くの登山者が休憩していた。時間を確認して避難小屋を後にする。ひとつポコを越えると大砲岩に向かう稜線は細くなり、漠然となだらかと思っていた十勝側もそれなりの傾斜で容易にテントを張れるような場所はなかった。そして大砲岩に到着してみると、以前夏道もあったというOP尾根側の険しさに驚いた。避難小屋から大砲岩までの所要時間はわずか12分。
尾根上の下降地点の近く大きな岩に各自が持参した花や供物を供え、ひとりづつご冥福をお祈りした。全員が終わる間に多くの登山者が通過していった。最後に持参したビールを岩場にかけ半分を自分で飲んだ、残ったビールは苦かった。
滑落現場(テント設営地点)と思われる地点まで降りてみた。大砲岩を過ぎてからのパーティの行動範囲は想像以上に狭く、また斜面はとてもテントを張れるような場所ではなかった。視界がほとんど利かないなか、ここで身動きがとれない状態に陥ったパーティを想像すると、とても切ない思いがした。
下を見ると滑落停止、遭難地点と思われる箇所に何か目印のような赤いものが見えた。30度ほどの傾斜を下ってSさんら3名がその場所まで降りた。赤く見えたのはコッヘルとシュラフカバー、更に片方のアイゼンなど遭難場所に残置されていたものだった。回収されず雪に埋もれて残ったままになっていたものが雪解けとともに7ケ月の歳月を経て現れたのだ。
あれからずいぶんと月日が過ぎたが、今回の山行に参加し、あの遭難事故をあらためて身近に感じることができた。
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